
オーストラリアでの作業療法士の役割と環境
作業療法士の役割とは?
オーストラリアでの作業療法士は、対象者の健康や生活の質を改善するために幅広いサポートを提供します。機能的な回復だけでなく、身体や精神的な障がいと共に生きる人々の残存能力や強みを生かしながら、生きがいのある生活を送るための計画を立てて作業療法アシスタントなどと共に実施します。
オーストラリアでの作業療法士の働く環境とは?
オーストラリアでは、作業療法士は多様な設定で働く機会があります。公立または私立の病院、リハビリ施設、介護施設、学校、コミュニティセンターなど、さまざまな場所で活動しています。作業療法士は、対象者の方やご家族、他職種のスタッフとの直接的な対話や評価、治療計画の立案、リハビリテーションの実施、結果の評価など、幅広い業務に従事します。
詳しくはこちら:【日豪OTが教える】オーストラリアの作業療法士の仕事とは:どんな働き方?日本との違いとは?
なぜ作業療法士にとって英語力が重要なのか?
オーストラリアで作業療法士として働くには、免許取得のために必要な英語力だけでなく、対象者やその方に関わる人たちと円滑にコミュニケーションを取るための応用的な英語力が重要になります。
また、チーム内でのプレゼンテーションや作業療法アシスタントや介護士の方へのワークショップ(短時間の講習会)など、英語+OTの知識と技術を使ったリーダーシップのスキルも求められます。
このように、オーストラリアでの作業療法士としてのキャリアを築くためには、適切な英語力を習得することが不可欠です。
とはいえ、まずはそのスタート段階である「作業療法免許の取得に必要な最低限の英語力」を知りたい!という方も多いと思うので、今回のブログでは、こちらを紹介していきます!
オーストラリアの作業療法士資格要件の概要
オーストラリアで作業療法士免許を取るためには、主に二通りの道筋があります。一つ目はオーストラリアの大学で作業療法学専攻の学士号または修士号を卒業すること。もう一つは、日本で取得した作業療法士資格をオーストラリアで書き換える方法です。
詳しくはこちら:オーストラリアで作業療法士資格を取得する2通りの方法
一つ目の、オーストラリアの大学に入学するという方は、まずは各大学が規定している英語力(IELTS7.0レベルが多い)に到達する必要があります。大学附属の英語学校から行き始めるという人もいますが、他の語学学校に比べ学費が高い印象です。

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作業療法士免許の書き換えに必要な、具体的な英語スコアとは?
ここでは、日本の作業療法士が、オーストラリアの作業療法士免許を取得するためにクリアしなければならない英語の試験と、具体的なスコアをお伝えします!
国際的な(WFOT認定)資格を持つ作業療法士の、オーストラリアでの免許取得に関しては、OTCという機関が具体的な英語力を規定しています。
STAGE 1 DESKTOP ASSESSMENT(2023年2月更新)の要項では、具体的に以下の英語テストとスコア(どれか一つのテストをクリアすればオッケー)が示されています。
IELTS(アカデミックモジュール)
総合スコアが最低7で、各セクション(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)が最低7以上であることが求められます。大学入学のために使われることもあり、分野が幅広く、ライティングのエッセイのテーマで当たりはずれが出やすいという人もいます。

他のテストに比べ安価だけど、ネイティブでも6.5以上が取りにくいこともあると言われるIELTS。
これから挑戦したい方が、自分の英語力を知るために受けるには良いかも。ただ、あと一歩スコアが届かない!という方は以下に紹介するテストを受けてみるのがオススメ。
OET (Occupational English Test)
これは作業療法という分野を選んで受けられる、実践に近いテスト内容。ライティングでは例えば退院時サマリー、スピーキングやリスニングでは初期評価の様子を想定した内容などが出てくることもあり、ある程度的を絞って勉強することができます。
OT免許の書き換えでは、OETは各セクション(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)で最低スコアBを達成することが求められます。

IELTSでずっと目標点が取れなかった人が、OETやPETに換えたらポッと必要なスコアが取れたという話も実は珍しくないのです。
ライティングのスコアだけIELTS6.5が続き、7の壁が厚いな、、でももう少し!と呪縛に捕らわれていた私も、ある時思いきってOETを受けてみたら一回目で各スコアBが取れました。
PTE Academic(Pearson Test of English Academic)
PTEは2009年から始まり、他のテストと比べまだ新しい英語力テストです。こちらはIELTSに似ていますが、完全にPC上で行うため、スピーキングではコンピューターに自分の英語を認識してもらう必要があり、発音やアクセントで苦戦する人もいるようです。
PTEでは総合スコアが最低65で、各コミュニケーションスキル(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)が最低65以上であることが、作業療法士の免許書き換えのために最低限必要な英語力となっています。
TOEFL iBT
こちらは総合スコアが最低94で、各セクションでリスニング24、リーディング24、ライティング27、スピーキング23を最低スコアとして達成することが求められます。
現在はIELTS, OET, PTEが免許書き換えや留学を考えている作業療法士にとってメジャーなテストなようです。
1回目のテストで各スコアを達成できなくても(1回目のテストから数カ月以内であれば)2回目のテスト結果と合わせてOTCへ提出できる場合があったり、免許書き換えのプロセス(Stage1書類審査)申請の何カ月以前までに受けたテスト結果でなければならない、などの規定もあるので、その点はOTC要項(2023年2月改定)を読んだり、改定されていないかOTCのサイトから確認することが大切です。
免許書き換えプロセスについて、ここでしか手に入らない、解説付きの日本語訳が欲しいという方は⇒こちら
OETに向けたオススメな勉強方法とは?
上記でお伝えした通り、IELTSは近年幅広く周知されてきており、本やYoutubeでも勉強方法や単語帳などが広く紹介されるようになってきました。IELTS6.5レベルの英語力に到達するまでは、IELTSなど一般的または広くアカデミックな英語の勉強をすることが、OETのスコアBにも近づく方法かも、と(個人的にですが)思います。
ただ、上記でもお伝えした通り、IELTS6.5から7.0の壁が厚く、なかなか7.0が取れない!という方は、作業療法士に特化したOET学習に焦点を絞ると良いかもしれません。

私はIELTS6.5がコンスタントに取れるようになってから、以下の方法を3ヵ月集中的に行うことでOETで各Bを取ることができました!
無料で取得できる!?OETサンプルテスト(模試)
実は、OETが公式で、OETの勉強方法やサンプルテストを提供してくれていて、作業療法士も模試(4~5回分)を無料でゲットできる方法があるということをご存じでしょうか?
私は、現地で作業療法アシスタントやライフスタイルコーディネーターとして高齢者のケアホームで働きながら、OETの3か月前からサンプルテストを使って、以下の方法でさらに集中的にOET用のテスト勉強を行いました。
- まずは提供されている解説を見聞きしたり、サンプルテストを実際に解いてみて、OETの型を知る
- 答え合わせをして、自分の現在のレベルを知る
- サンプルテストは4~5回分提供されているので、3か月前から何度も繰り返し解いてテスト傾向や型に慣れて、回答スピードを上げていく
- 引き続き知らない単語や、ライティングの回答の型を暗記(テンプレを考える)
- ③から数週間開けて(内容をあまり覚えてない状態を作り)、OETの試験1週間前にもう一度解いてみる
リスニングの無料のサンプルテスト(4回分)⇒こちら
リーディングの無料のサンプルテスト(4回分)⇒こちら
ライティングの無料のサンプルテスト(5回分)⇒こちら
スピーキングの無料のサンプルテスト(5回分、対策・解説付き)⇒こちら
経験者に個別で相談したい!という方は
海外で働いてみたい!という夢や目標はあって、英語の必要条件は分かったものの、
とはいえ
実際のイメージがわかないと一歩が踏み出しにくい。
現地の作業療法士に個別相談や英語指導をしてもらいたい!
という方もおられるかもしれません。

私も、日本で退職後、ツテも英語力もゼロに近い状態でオーストラリアに来て、作業療法士になってみたいなーとふんわり思ってはいたものの、相談できる人がいなくてとっても苦労しました。
なので、英語の試験や実習、免許取得を終えて実際に作業療法士としてオーストラリアで働いている今、同じような悩みを持つ日本の学生さんや作業療法士の力になりたい!という思いから、
個別相談をご提供しています。
今年に入ってからオンライン個別相談に来られた日本の作業療法士の方々からは、
「本当に自分にできるのか不安だったけど、個別相談で具体的な体験を聞いたり、道筋を一緒に考えてもらって、一歩踏み出す自信がついた!」
「実際にオーストラリアに来て、作業療法アシスタントとして仕事を得て、その職場の作業療法士に実習指導を頼めるようになった!」
「一般的な日常英会話と違って、オーストラリアの現場で働く作業療法士との日常英会話を行ってもらって、興味もあったので継続して学ぶことができた!」
など、嬉しい声をいただく機会が増えていて私もありがたいです。
もし、相談してみたいな、という方がおられたら、こちらのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください^^
今のあなたがどんな英語やOT、海外生活レベルであれ、大丈夫です!
あなたの目標を応援しています!