オーストラリア|日本語で受けられる|認知症 作業療法サービス 【在豪 日本人 作業療法士】

オーストラリア|日本語で受けられる|認知症 作業療法サービス 【在豪 日本人 作業療法士】

はじめに

日本で認知症と共に生きた祖母と生活した経験から作業療法士(Occupational Therapist/OT)になり、オーストラリア移住後もずっと夢だった認知症の方と関わる仕事をしている日豪作業療法士のShizukaです!

今回は、ようやく、個人で企業し、日本語で在豪日本人の認知症と共に生きる方とそのご家族やスタッフに作業療法士として関わることができるようになったのでご報告させてください^^

在豪日本人で認知症と診断された人のお悩みとその原因

オーストラリアで認知症と診断された日本人やその家族のお悩みあるある

オーストラリアに移住し長年住んでいるものの、ご自身や大切なご家族が認知症と診断されて、以下のような悩みを持っていませんか?

  • 現地でサービスを受けようと思っている・受けているけど、現地の医療・介護スタッフや、認知症ケア経験のない通訳者との英語でのやり取りがスムーズに出来ず疲弊している
  • 現地の医療・介護スタッフに日本の文化を伝える、または理解して対応してもらうのが難しい
  • 自身や家族にできないことが増えてきて、どうしたらよいか悩んでいるけど、何が、どれくらい、どうやったら出来るのか、本人がやりたい活動や残存能力について詳細な検査・評価・アドバイスを受けたことがない

このような悩みを持つ方はあなた一人ではないのです。

認知症と診断された日本人が陥る悩みの原因とは

これらの問題が起きている原因として、オーストラリア国内での以下の現状が考えられます。

  • オーストラリアに数十年前に移住した日本人の方の高齢化が進んできている現状
  • 認知症が発症するのは高齢者だけではない(若年で発症する場合もある)こと
  • 認知症の原因(認知症に関わる病名、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症など)やその症状や進行速度が多種多様であること(必ずしも認知症=記憶障害ではない)
  • 認知症と診断された後にも「自分らしく」生きていくためには、変化していくご本人の「できること・適切なサポートがあればできること・できないこと」の詳細を把握し、ご本人の生活環境や活動の難易度レベルを適切に設定することが重要であること
  • (認知症と共に生きる方と関わる知識と技術を持ちながら)上記を適切に認識し、評価・介入する専門職である作業療法士の人数がオーストラリア国内でも限られていること。
  • オーストラリア国内で認可された作業療法士資格を保有し、認知症の方の生きがい活動を専門とする日本人作業療法士が希少であること

作業療法アシスタント(TA)やサポートワーカー(Carer、Support Worker)さんのお悩み

実は、人として思いやりのある作業療法アシスタント(Therapy Assistant/TA)や介護士(Support Worker/Care Worker/Personal Support Worker)さんは多くいるのですが、その方々は実際、作業療法士が行う認知・身体・精神機能評価に基づくケアプランを提供されていればまだマシな方で、特に在宅の方では多くの場合「ご本人はどれくらいの残存機能があるのか」「なぜ今までやっていた活動が困難になっているのか、本人にとってストレスの少ない、かつ自立して行える方法は何なのか」という詳細情報なしに、時間とざっくりした情報だけ渡されてサポートしている場合もあり、本人がやりたいけどリスクが伴う挑戦や、難しくなってきた活動をどうやって自立して行い続けられるか判断するための判断材料が与えられていなかったり、技術が追い付いていないことがある現状なのです。

サービスをコーディネートするサービスコーディネーターという職の方は、医療・介護の専門職の経験がなくてもなれる職業で、作業療法士がどんな職業なのか知らない⇒時間を割り振らない(または環境設定のみに時間を与える)場合も往々。実は本人のニーズがあっても、それに気づかずスルーされている場合もあるのです。

こういった現状の結果、他の専門職やご家族・ご本人が、

  • 試行錯誤するも失敗⇒やる気と自信喪失
  • 別の方法を試行錯誤する前に「難しい=もう出来ない」と決めつけてしまい、本人がやる前に介助(過介助)
  • 危ないからやらせない(行動制限)
  • 二次障害として本人または家族がうつ病を発症

という悪循環に陥ってしまう場合もあります。

こんな現状の毎日を過ごす中で、関わってくれる医療・介護スタッフに日本文化を英語で伝えることは、ご本人やご家族にとって大変なことですよね。

また、認知症ご本人にはきちんと理由があっての行動であっても、周囲の知識不足や理解不足によって「問題行動」と扱われてしまい、適切なサポートが提供されず、ご本人の混乱をさらに助長してしまう場合があります。

薬の副作用による影響をモニタリングするだけでなく、薬以外で対処できる介入方法(Non-pharmacological interventions)を行うことが大切で、その一つが本人のレベルに適した「生きがい活動」です。

私の日本とオーストラリアでの体験談

私自身、認知症と共に生きる祖母と家族の一員として日本で生活していたとき、

道に迷うのも多くなったり、料理の全工程を行うのは難しくなってきた祖母が、

「キャベツの千切り」という工程に限ると私や母より上手くできる状況や、

洗濯の全工程はできなくても、「乾いた洗濯物をたたむ」ことはできるのを間近でみて、

「認知症と診断されても、適切なサポートがあれば本人の強みを生かして生きていけるんだ!」

「なんでだろう?どうやったら強みを生かせるのかもっと知りたい!」

と思って作業療法士となり、その知識がついた後9年前にオーストラリアに移住した後も、

今度はその知識や技術をさらに高めるため、ケアホームでのボランティア、作業療法アシスタント、ライフスタイルコーディネーターを経て2019年にオーストラリアの作業療法士資格を取得しました。

その後も世界中の認知症の当事者の方々と職場や学会、友人として公私ともに関わり多くを教わりながら「本人の生きがい活動を最大限できるようにするにはどうしたらよいか」在宅や施設に住む方々と一緒に考え実践してきました。

その中で、オーストラリアで認知症と診断された後、英語での会話が難しくなったり、一方で日本語や日本文化の活動ではまだ出来ることがたくさんあるのに、関わるスタッフの文化や、本人の詳細な残存機能レベルの理解不足で、本人のやりたい活動ができなくなってしまう現状を見てきました。

通訳の人が間に入っても、作業療法の知識がないとうまく伝わらない・会話ができないこともしばしば。

日本とオーストラリアの作業療法資格をもって、認知症と生きる方々と関わるのが大好きな私が、オーストラリア人だけでなく、在豪日本人の方に何かできることはないだろうか??

よし!私が日本語で作業療法評価・介入を出来るようになろう!!

と思い立ちました。

提供可能な作業療法サービス

叶えたい願い

OTGOGOでは、以下のニーズを満たすことを目的に作業療法介入を行います。

  • 認知症と診断された後も、自分の強みを生かして、生きがいのある人生を送りたい。その具体的な方法を一緒に考えて試行錯誤、実践できる専門職の人に出会いたい
  • 医療の専門知識や日本語能力だけでなく、認知症に特化した知識と技術がある作業療法士と一緒に、自分やご家族の「生きがい」を重視した活動を出来るように一緒に挑戦するサポートが欲しい
  • 法人向けに、現在または関わっている日本人の利用者様に対して、どんな支援方法が適切か、ご本人の人生史や尊厳を尊重した支援を行うための提案・スタッフへサポートを提供してほしい。

具体的な作業療法評価・介入の流れ


具体的には、以下のような流れで作業療法評価・介入を行います。

  1. 目標設定|ご本人とご家族からしっかりとお話を聞き、ご本人のやりがい活動が何なのか(ADOCなどのツールを用いて)一緒に考えます。
  2. 作業療法評価|現在なぜそれが出来ていないまたは難しいのか、できるようになるためにどんな方法が適切かを把握するため、ご本人にとって適切な認知・精神・身体機能評価やその他の評価(必要な福祉用具や適切な難易度設定のための評価)を行い現状の強み・弱みを把握します。
  3. 作業療法計画書作成|優先順位をたて、なにから、どんな方法で生きがい活動を可能にするか、生活の満足度を向上するための計画を立てます。
  4. 作業療法介入|実際に「生きがい活動」を一緒に実践し(またはオンラインでフォローアップ)、どうすればもっとやりやすくなるのか、他にどんな自立方法・支援方法・福祉用具が必要か試行錯誤します。
  5. エバリュエーション|達成度合いを把握、必要に応じて、②~④を繰り返します。

①~④はご本人とご家族だけでなく、必要であればその周りの医療従事者(医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、介護士、ソーシャルワーカー、成年後見人、Public Trustee、サポートコーディネーターなど)と連携・情報提供することも可能です。根拠に基づく、パーソンセンタードな(個人の尊厳を大切にした)作業療法を行います。

パース在住の方は現地(お宅や外出先など)に実際に訪問して①~⑤を実践、その他の地域の方はオンライン(ズームやMicrosoft Team)で可能な範囲でのサポートとなります。

利用する方法は?

NDIS(Plan managedもしくはSelf Managed)または自費でのサービスをご提供しております。

西オーストラリアのパース市内の場合は現地サポートが可能です(交通費別途)。その他の地域の方は、オンライン(ズームやMicrosoft Team)で対応させていただきます。

連絡先

ご本人、ご家族、法人の方またはNDISサポートコーディネーターの方からのご依頼は、以下のフォームに可能な限りご記入の上、こちらのメールアドレス(otgogo1@outlook.com.au)まで、お気軽にご連絡ください^^

オーストラリアで日本語で受けられる作業療法

OTGOGO代表

横井静香(Shizuka Yokoi)

メールアドレス: otgogo1@outlook.com.au

メールをいただいた後、ご希望の方はラインやお電話での対応も可能です。

ABN:44 225 848 062

その他(作業療法士による認知症の方とスタッフとの通訳依頼、コミュニケーションツール作成依頼など)のお問い合わせはこちらから。

まとめ

この記事では、現在オーストラリアで認知症と診断された方が日本語で受けられる作業療法評価・介入が少ないことやその重要性について解説し、

認知症と診断された後もご本人の強みを生かして自分らしく「生きがい活動」を行うための医療専門職である作業療法士としての私の経験や新たな挑戦についてご紹介しました。

現在パース(またはオンラインで全オーストラリア)において日本語で受けられる、ほぼ唯一の、認知症と共に生きる方の支援に特化した作業療法を、一人でも多くの方にご提供できれば幸いです。