失敗したくない!オーストラリアのケアホーム(高齢者施設)に転職する具体的な方法【ブラックリストあり】

失敗したくない!オーストラリアのケアホーム(高齢者施設)に転職する具体的な方法【ブラックリストあり】

はじめに

オーストラリアのケアホーム(居住型高齢者施設、Residential Aged Care Facility)での仕事は、永住ビザ申請でスポンサーになってくれる企業があったり、チームで働けるので地域よりも初心者が働きやすいなどの魅力がある一方、特に作業療法士や理学療法士などセラピースタッフの人数は少なく夜勤もないため、介護士やナースに比べて求人数が少ないのが現状です。

だからこそ、より良いケアホームへの就職や転職は、実は慎重な準備と戦略が求められます。以前初心者向けの就活・転職方法についてブログでご紹介したので、今回は特に転職上級者(臨床経験のある現地の人たち)がどんな方法で就職・転職活動を行っているかについて具体的に説明していきます。

自分は初心者だ、という方にとっても分かりやすく、現地の人たちがどんな(日本とは全く異なる)方法で、より良い職場環境と待遇の仕事をゲットしているか解説していきます!

オーストラリアでのこれからのあなたの転職に役立つ内容もあるかと思います。

1.求人情報収集

まずは様々な場所からの情報収集。この段階では、ネットワークの広さに差はあるものの、初心者も上級者も大体同じ方法で、出来るだけ多くの求人を見て、自分に合いそうな数社を抽出しているようです

過去ブログで詳しく説明してあるので、ここではさらっとご紹介させてください。

転職サイトやLinkedinを活用する

現地の人とっても、転職サイトやLinkedinは強力なツールです。具体的な手順は以下の通りです。

転職サイトの活用

  • メジャーな転職サイトを訪れ、キャリアや経歴情報を入力して求人を検索する。
  • 求人アラートを設定し、新着情報をリアルタイムで受け取る。

Linkedinの活用

  • プロフィールを充実させ、自身のスキルや経験をアピールポイントとして明記する。
  • Linkedinでコネクションを広げつつ、転職エージェント(無料)から紹介された仕事に興味があればDMに返信して、さらに詳細情報をDMや電話で聞く。自分の希望を伝えて自分の好みに合いそうな求人を紹介してもらう

知人ネットワークの活用

他の求人情報とは異なり、知人や元同僚からの声かけは信頼性が高く、内部情報が聞きやすいというのは日本でもあるかもしれません。

具体的な方法としては↓

  • 知人や元同僚に連絡をとり、その人の周りで、新たなスタッフを探しているという施設や人はいないか、(もし知っていれば)その施設の雰囲気について直接尋ねてみる。
  • 現在の自分の仕事状況や転職の背景を共有し、どんな転職先・施設がオススメか、アドバイスを仰ぐ。

日本と異なり、1年くらいのスパンで転職を考えるのが普通であり、アドバイスしたいという性格の人が多い印象のオーストラリア。

自分が知っている・話せる範囲の内容があれば、積極的に教えてくれることも多いので、可能であれば知人や元同僚にそれとなく聞いてみるのがGood!

とはいえ、英語でのコミュニケーションに自信がない、具体的にどんな表現を使って英語で聞いたら「それとなく」聞けるのか分からないという方も多いかと思います。

私もはじめは全く自信がなく、現地で実際に失敗や成功をしながら数々のケアホームで計7年働き、徐々に学んできました。

現在はオーストラリア人や日本人を含め就職・転職方法のアドバイスをしたり、職場の面接官も行えるようになりました!

OTGOGOでは現役オーストラリア作業療法士の私だからこそできる、あなたの長所を生かした就職転職準備・実際の方法を一緒に考えるプログラムをご提供しています!

具体的には

  • 日本にいる時(移住前)から出来る準備はどんなことがあるか
  • 移住後すぐに出来る就活方法は何か?
  • 今働いている会社でうまくいっていないけど、転職できるか不安…
  • 転職エージェントや知人に、英語でどう伝えたらいいのか?知りたい

という移住前~移住直後の方のための個別相談プログラムになっています。上記に当てはまる、個別相談に興味があるという方のみ、以下からお問い合わせください!

現役オーストラリアOTにお願いしたい!

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2.目星のついた求人先(雇用主企業)の調査

上記の方法で色々な求人を探し、大まかな求人情報から自分にとって興味のある、かつ今までに経験から自分にできそうな仕事だ、と思われる転職先の候補がいくつか(3施設以下が妥当)抽出できたと思います。

次は、その目星のついた職場について、もう少し深く知っていく段階です。以下、具体的に3つの方法をご紹介していきます!

ここからが、オーストラリアでの転職活動で、初心者と上級者の間で差がでるポイント!

知人や元同僚に聞き込み

上記では知り合いに「知ってる求人ない?」と聞く段階でしたが、ここでは「この会社に求人が出ていて就職・転職を考えているんだけど、この職場について何か知らない?」ともう一歩深く聞く段階です。

具体的な英語の言い回しの例としては、

I am considering the OT position in ○○(会社名). Have you worked for the company or heard about this organisation from someone working there?

○○会社の作業療法士の職に興味があるんだけど、この会社で働いたこととか、スタッフからこの職場について何か聞いたことある?

現役もしくは元職員、入居者またはそのご家族のレビューを読む

ネットのコメントの真意のほどは分かりませんが、ネットで施設や法人の評判を検索してみたり、そこで現役または元職員、クライアントやそのご家族が書いたレビューや、企業が発信するフェイスブックなどでのコメント欄は参考程度に見てみると良いかもしれません。

ネット検索の具体的な例:

「○○(法人または施設名) Review」や関連するキーワードを使ってオンライン検索を行い、その法人または施設の活動報告や、関連する人からのレビューをみる。

私の場合、転職エージェント(その法人または競合他社にお金をもらって転職斡旋している会社)が書いていることが明らかな(コメントした人の名前や職種がエージェント名になっている場合)、そのコメントは参考にしません。

出来るだけ自分が応募しようと思っている職種やその関連職種の人が書いている文章を参考にするのが良いかもです(そのコメントを書いた職員に問題があるという可能性も大いにあるので、それをある程度念頭に置きつつ読みましょう)。

期間的には、1~3年以内に書かれたレビューが適切かと思います。

Seekindeedなどの転職サイトは現・元職員からのレビューに、Googleマップは入居者や家族のレビューにより適しています。

以下はSeekに記載されている、ある法人の被雇用者(現職または元職員)レビューの一例です。赤枠の部分を見るのがポイントです。

政府機関による施設ごとのパフォーマンス・レビュー(監査結果)を分析

オーストラリアのケアホームでは約3年に一度、政府職員によるパフォーマンス・レビュー(監査)が行われます。

そこでは、ある日(ほとんどの場合予告なく)政府または政府に委託された外部職員が施設にやってきます。そしてそこから3日間かけて介護の実態、日誌やケアプランなどのカルテ記録、医療従事者が行う入居者の評価(例えば認知機能評価や痛みの評価など)、入居者の意思や文化・尊厳を尊重したケアやアクティビティが行われているか、マネジメント(人事やリーダーシップ、職員指導)などを含めた全8項目について、スタッフや入居者・ご家族に聞き取り調査や書類チェックなどの方法で詳細に調べられます。

3年に一度なので、今年来るだろうなーというのは想像できますが、いつ来るかは知らされず、政府機関の職員がきたら隠さずすべてを見せるため、施設長含めスタッフが一気にピリッとします。

ではなぜその法人・施設にとってパフォーマンスレビューの結果が重要かというと、国の基準から著しく背いていると判定された事業所(施設)は、改まるまで(3~6ヵ月)新入居者を入れられなかったり、最悪の場合業務停止・終了命令が出されるからです。

ではなぜ私たち就活生にとって、目星をつけた法人・施設のパフォーマンスレビューの結果とその内容が重要かというと、パフォーマンスレビューの結果を読解することで、面接以前にその事業所の経営状況(スタッフ不足はないか、適切な介護・看護・一人一人に意味のあるアクティビティは提供されているか、ケアプランは更新されているか)についてある程度知る・予測することができるからです。

法人や事業所の公式ウェブサイトやフェイスブックでは、良い情報のみを載せるのが一般的。

一方、パフォーマンスレビューには、良いことも悪いことも国の基準で判定・調査され、記載されます。

事前にパフォーマンスレビューを解読することで、自分にとって本当に安全な職場かどうか知ることができるのです。

政府が公開している各事業所のパフォーマンスレビューが載っているホームページは⇒こちら

初心者は避けておいた方が良いかもしれない、2023年8月に国の基準を(部分的にでも)満たしていないと判定された施設の(ある意味ブラック)リストは⇒こちらからダウンロードして見ることができます。

※この後に再審査されて、現在は改善し、基準を満たしていると判定されている場合もあります。

特にマネジメントの項目で落ちている場合は、人事異動が起きているかどうか(マネジメントスタッフが新しい人に代わっているか否か)をLinkedinで会社名を検索し、現職員を調べるとよいかも。

ご自身が目星をつけた事業所についてパフォーマンスレビューを読みたい日本語に訳してもらいたい!というご依頼はこちらから。

面接

ここからは、調べた情報を基に目星をつけた法人・施設に履歴書を送ったのち、面接に行く際のポイントです。現在他の会社に就職していて、転職活動中の方で、心に余裕がある方は以下のことを実践してみても良いかもです。

job interview

答えるだけでなく、自分からも質問する

日本では、面接官に質問するのはご法度かもしれませんが、オーストラリアでの面接は日本よりも緩く、特にケアホームではフレンドリーな人を募集していることがほとんどなので、受け身ですべての質問に答えるだけでなく、面接官に施設について質問してみるのも上級者の行う手法。

上記の方法で得た情報をもとに、自分が気になったこと(何人作業療法士が在中している?作業療法アシスタントは?)を聞いてみたり、「このイベント素敵でしたね」とその法人または事業所が過去に行っていたイベントに触れてみるのもありかも。

現場の雰囲気をみる

面接前後の時間があるときに、可能であれば施設内を歩いて回るのもあり(面接官に、面接後に施設内を見ても良いか聞いてみるのが最適)。

セキュリティーや感染対策の面から、すべての部分を見ることはできないかもしれませんが、可能であれば以下のポイントに注意してみるのが良いかと思います。

施設内で使用されている車いすや福祉用具の状態

  • 車いすや歩行器、クッション・椅子に明らかな汚れがないか
  • 施設内の消臭対策は行き届いているか、など

明らかな汚れが放置されていたり、ボロボロ、または明らかにサイズ違いの物を入居者さんが使っている施設は要注意。スタッフ教育や福祉用具にお金を出してもらえない場所である可能性があり、特にOT・PT・看護師の仕事は滞るかもしれません。

スタッフとのアイコンタクト、入居者への対応

  • スタッフがニコニコしているか
  • 挨拶するときにアイコンタクトをしてくれるか
  • スタッフと入居者の交流はどうか、など

特に認知症と共に生きる方々は、周囲の感情の変化にも左右されやすく、スタッフが焦っている理由の理解が難しかったりする場合もあるので、職員がどんな声掛けをしているか、入居者がどんな表情で過ごしているかを知ることは、とても大切です。

認知症フレンドリーな環境設定

  • 各部屋に本人の名前や目印になるものが配置されているか
  • 床と壁、または机にカラーコントラストがあるか(異なる色味を使って、別の物だと分かるような設定になっているか)
  • 入居者さんの、屋外へのアクセスがあるか
  • シャワートイレ付(オンスイート)の個室か、共同部屋または共同シャワールーム・トイレか
  • 人や物、音楽による騒音レベルは適度に抑えられているか
  • カレンダー付き時計や、週または月別アクティビティの予定表が見やすいところに貼ってあるか、など

認知症の方が多く入居されているケアホームでは、ご本人の生活の質を保ち、安心して過ごせるようにするための環境設定は非常に重要です。施設がそこにどれくらい資金を投じているか、意識的に認知症フレンドリーな環境設定を行っているかにより、事業所の指針が垣間見えます。

オーストラリア,アクティビティ

まとめ

いかがでしょうか。

オーストラリアのケアホームへの就職・転職は、日本よりも法人・施設(事業所)の内部情報が良くも悪くも公表されいたり、特に西オーストラリアにはまだまだ限られた施設しかない分ほとんどの職場の口コミが知り合いつてで拡散されている場合もあります

日本よりもその点が赤裸々であるため、転職先を探す際は、徹底的なリサーチと交渉により、より良い職場に勤めることが可能です。

知人ネットワークやオンラインツールを活用し、企業や施設の実態を把握した上で、自身の希望条件を明確にしましょう。

今回は触れませんでしたが、この他にも面接後に採用された施設との就労形態の交渉をするなど、柔軟かつ具体的な条件を提示し、理想的な職場環境を手に入れるためのコツは色々あります

初心者の方は、目星をつけた法人・施設のことを何も知らずに入って大変な思いをすることを避けるためにも、今回ご紹介した中の一つでも実践できると、他の初心者の方とグッと差をつけてより良い就職・転職先を見つけられるかもしれませんね。

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